環境省が絶滅危惧(きぐ)2類に分類し、福岡県内でも1981年以降生息が確認されていないという水生昆虫のタガメが先月、北九州市の八幡西区と若松区で相次いで1匹ずつ捕獲された。タガメはインターネットで販売もされており、捕獲された2匹が野生種と断定はできないが、同市八幡東区の市立自然史・歴史(いのちのたび)博物館は「地理的にこれだけ近い場所で同時期に見つかることは珍しく、野生種の可能性は高い」として、近隣水域での生息調査に乗り出すことを決めた。
今回見つかったのは、タガメの成虫の雄と雌。雄は、若松区藤ノ木の会社員木村文弘さん(40)が9月下旬の夜、自宅の庭から「ガサガサ」と物音が聞こえたため、戸外に出て捕まえたという。昆虫図鑑で調べて、タガメと分かった。体長52ミリで、同館に持ち込まれ、飼育されている。
雌は、同県遠賀町の会社員川副和幸さん(43)が9月29日朝、同市八幡西区本城の勤務先駐車場の外灯下で見つけた。既に死んでいた。体長は65ミリ。昆虫好きの川副さんはすぐにタガメと分かり、同館に届け出た。
県によると、1981年以降県内でタガメの生息は確認されておらず、標本としては64年に同市の皿倉山山頂で捕獲されたものが最後。
同館で昆虫担当の上田恭一郎学芸員(58)は、今回発見された場所が10キロ程度と近い点から「同時期に2匹となると野生の可能性はある。まとまった地域に繁殖しているとすれば、環境が回復している指標といえる」とみており、ほかに目撃例がないか情報提供を呼びかけている。同館=093(681)1011。

